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39歳・コンサルタント・エンジニアです。「やっときゃ良かった」を防いでいい男の最高峰を目指しています。未来技術と健康・減量など役立つ情報を発信しています。

【未来技術】知っておくべき地球上の生物と人工物の重量比(最近「生物<人工物」となった話)

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人類と地球とはスケールも壮大だけど大切なことですね(出典:写真AC)

人間の活動が地球にどのように影響してきたかについて興味があります。

地球環境問題やSDGsなどは地球に優しくするための個別の実践方法が進んでいますがその取り組みが網羅的であるがゆえに全体像の把握ができないというデメリットがあると感じています。

なので全世界や人類ベースで地球との関係をざっくりとわかりやすく示した例を探してみました。

未来技術と関連付けながらテクノロジーの進化とともに考えたいと思います。ワインでも飲みながら気軽に読んでいただき、みなさんの参考になれば幸いです。

地球上にいる生き物の重さ

地球上の生物の総重量は約1兆1000億トンといわれています。この生物重量の9割が植物で、そのほとんどが高木や低木が占めているようです。

生物の総重量の変化については、衛星データと全球植生モデルから得ていて、その趨勢は長期では減少傾向にあるものの、近年あまり変化していないということです。

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地球上の生物と人工物の重さを分解する(出典:写真AC)

地球上にある人工物の重さ

人工物とは人間が作ったモノ。コンクリートでできたビルや全面ガラス張りの超高層ビル、はたまたペットボトルや洋服、車や自転車、コンピューターなど身の回りにあふれていますね。

 

この人工物は年々爆発的に増えています。

 

人工物の総重量を推計している産業生態学という分野の最近の研究によれば、1900年代前半に350億トンあった人工物の重量(生物の総重量の約3パーセント)は、現在では約1兆1000億トンに達していてさらに年間300億トンずつ蓄積されているとのことです。

 

これは地球上の人間全員が、毎週、自分の体重以上のものを製造している量に相当するという驚きの事実ですね。

 

このままいくと人工物の総重量は2040年までに約2.2兆トン、つまり生物の総重量の2倍以上に達すると推算されています。

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増えるもの・減るもの(出典:写真AC)

人工物の重さが生物の重さを上回る時代

現在、両者の総重量はほぼ同じですが、2020年代に人工物が生物の重量を上回るそうです。(ついに上回る、という方が良い)

人間が世界の養分の循環を変容させ、気候を変動させ、無数の生物種を絶滅の危機に追いやってきたかを説明するのに役立ちますね。

今回R Miloたちは、全球の生物量(全ての生物タクソンの質量)と人工物の質量(人類によって生産された非生物固体の質量)に関して、1900年から現在までの変化を推定している。その結果、人工物の質量「人為起源物質量(anthropogenic mass)」は、20世紀初頭には全球の生物量の3%であったが、約120年を経た2020年には、全球の総生物量を上回ることが示された。現在の傾向が続けば、人為起源の廃棄物量を含む全人為起源物質量は2040年までに3テラトンを超え、地球上の生物量(乾燥重量)のほぼ3倍に達すると予測される。(Global human-made mass exceeds all living biomass、Nature 588, 7838、生態学:人工物の質量が生物量を上回る、2020.12.17)

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緑とネットワーク(出典:写真AC)

農業革命や産業革命がもたらしたもの

生物と人工物の重量比較は、人類の影響の大きさを明確に示す指標ですが、人の営みが人以外の生物に大きな影響を与えたことも大切な視点です。

この研究が指摘しているように、約1万2000年前に農業革命が始まり、人類が農耕のために広大な森林を伐採し始める前には、地球上の植物の重量は今の2倍はあったかもしれないということです。

人間と家畜の総重量は現在、野生の哺乳類や鳥類の20倍近くに上る。現在の地球上にいる動物の総重量は40億トンで、これまでに生産されたプラスチック(80億トン以上)の半分にすぎないということです。

 

人間に必要な資源と引き換えにこのようになっている一方、その資源を保全するために代替的な資源ができています。例えばソイミート。

 

人口爆発に伴い必要な高タンパク質の食料を家畜の肉に求めるのではなく植物に求める。近年普及されつつあるソイミートなどがあります。(大豆による代替肉については以下の記事が参考になれば幸いです。)

【未来を救う食材】家畜の長い影とソイミート - dandy maker

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地球上で起きている不具合をいかに解決するか(出典:写真AC)

テクノロジーの進化と盛衰プロセス(基本的な4段階)

重量による表現以外では、テクノスフィアというものがあります。テクノスフィアは、人工的な建物や製品だけでなく人間が都市建設や農業・畜産業・漁業のために改変した土地や海底のおおよその重さも含まれている重量を算出する方法です。ちなみにテクノスフィアで見積もった重量は30兆トンあるようです。

(日本でもテクノスフィアやバイオスフィアをどう数量的に表現するか、については国立機関でも議論されてます。例えば、International Symposium & Workshop At the National Museum of Nature and Science (NMNS), Japan)

テクノロジーはダイナミックで絶えず変化します。

 

新しい技術が誕生しては時間をかけて進化し、そして盛衰する。

 

個々のテクノロジーが近い将来どう変わるかを知るには、テクノロジーがどんな進化の法則にどのように従っているのかを知ることが大切です。

この法則についてわかりやすく示されているのが私が愛読しているカクミチオ博士の本から引用します。(引用部分は下線、または引用と記載)

一般社会におけるテクノロジーは、4つの基本的な段階を追って進化すると言われています。例えばそれは、水や電気においてみられるということです。

製造業や建設業の過程で使用される水の量をウォーターフットプリントとするとすれば、この水に関する技術進化段階(井戸水の使用からポリタンクの活用、冷却水、工業排水など)も当てはまりますね。まずは生活用水を紹介します。

水は第1段階にあたる古代にはとても貴重で、一つの井戸を村全体で使う必要があった。この状態が数千年続いたが、1900年代の初頭になると次第に家庭に水道が導入されはじめ、第2段階へ移行する。第2次世界大戦後には、水道が第3段階に突入し、安価になって、増大する中産階級にも普及した。

今日、水道は第4段階にあり、装飾的な表現をするものとなって、様々な形や大きさの用途で使われている。噴水やディスプレイとして、世界を水で飾り立てているのだ。

電気

電気も同じでそのものが余剰になると人間はこれを装飾に使うという点が共通しています。私たちは、電気は壁の中に隠れていてありふれたものだと思いがちで、電気を使って装飾的な表現や娯楽のための空間を照らし世界を彩っているのが現在です。

電気も同じ段階を経てきた。エジソンによって第1段階を迎え、水が集落単位で共有されたのと同様、工場全体で電球やモーターなどを共有する貴重なものであった。やがて第1次世界大戦が終わると第2段階に入り、個人で電球やモーターがもてるようになる。

今日、電気は空気のように、どこにでもあるものとなった。「電気(electtricity)」という単語さえ、英語の言葉にあまり登場しなくなっている。クリスマスとなると、人々はなん百ものちかちかする明かりで家を飾り付ける。

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煌々ときらめく都会の夜景(出典:写真AC)

コンピュータとインターネット

現在、第4段階にある電機と水道は、ともに公共サービスとなっています。どちらも安価でたくさん消費され、家に届いて使われる電気や水道の量がメーターで計測されています。

コンピュータも同じ段階をたどっていると言います。公共サービスと化し電気や水のように売られる。民間から公共へシフトする流れはすでにありますがこれがより強固になるでしょう。

コンピュータチップが次第に空気のような存在になって、計算は「クラウド」で行われるようになるので、すでにコンピュータは紙や電気や水道などが歩んで踏み固めた道をたどっているとも言えます。

インテリジェント化するコンピューターテクノロジー

しかしコンピュータとインターネットはなお進化の途上にあるといいます。これらは第3・4段階に到達してゴミになるとは限らないということです。引用をします。

たとえば機関車を考えよう。輸送の機械化は、1800年代の初めに蒸気機関車が登場して第1段階に入った。当時は、100人が1台の基幹車を利用していた。

そのあと1900年代の初頭に、「個人用の機関車」つまり自動車が表れて第2段階に入った。

しかし機関車や自動車(要するにレールや車輪に載った箱)は、ここ数十年であまり変わっていない。変わったのは、細かい点で、エンジンのパワーや効率の向上のほか、車のインテリジェント化などだ。

このように第3、第4段階に到達できないテクノロジーは、細かい改良が施される。その1例が、チップを埋め込まれてのインテリジェント化なのである。

紙や水道、電気、コンピュータのように、第4段階まで進化するテクノロジーもあれば、中間段階にとどまりながら、チップの搭載や効率の向上などで、少しずつ改良されることによって進化し続けるテクノロジーとなるのである。

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技術進化の4段階はいろいろな事象に応用できる(出典:写真AC)

このように機能を高めてゴミにならないものもあるということが分かります。それでもコンピュータの小型化は進んでいます。

インターネットをコンタクトレンズを通して見る時代も遠くないのかもしれません。以下の記事も参考になれば幸いです。

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