こんにちは!ミナト@コンサルタント・エンジニアです。今日は毎日の生活に欠かせない電力の未来技術の話です。
これからの社会が大きく変化する可能性のある「電力ネットワークのリンクレス化」についてです。
そもそもの定義ですが、電力ネットワークとは発電所で発電された電気が、電線を介して変電所・配電所に至り人々に供給されるシステム全体を指します。
未来では、電気は電線を通らなくとも供給できる「リンクレス」のネットワークが構築される可能性が出てきています。
電気が大気をさまようになれば電線やコードがなくても電気の供給が可能になります。
スマートフォンのバッテリー残量を気にせず、高齢化に伴い電動車イスの普及が一気に進むことも考えられます。
今回は、電波に乗せて電気を送る無線送電技術について考えてみました。未来社会を考える際のみなさんの参考になれば幸いです。
無電線がもたらすこと
電線がなくなる無線送電技術が実装されるとどうなるでしょうか。
ブラックアウトや災害時の停電が減ります。また、電線や電柱がなくなるので道路が広くなって見た目(まちの景観)にも良いですね。
電線の地中化は、今なお行政主導で進められていますが土地所有者との折衝や予算的な制約もあって思うように進んでいないのが実態です。
災害時に安定的な電力供給ができること、モバイルデバイスが普及したスマートシティ構想の実現に向けて、無電線化には期待がかかりますね。
無線による給電の方法
無線による給電方法は2つあります。
第1が送電部と受電部を接近させる「近接結合型」です。
磁界結合方式及び電界結合方式では、コイルを介した磁界結合や電極を介した電界結合により電力を伝送します。
電波を空間に発射することを本来の目的としない「高周波利用設備」として実用化されています。
第2が遠方のデバイス等に給電する「空間伝送型」です。
電波(マイクロ波等)により、遠方に送電。受信した電波のエネルギーを電流に変換して使用するものです。
近年、マイクロ波等を活用した方式による離れた場所への送電(空間伝送型WPT)の実用化に向けた技術開発が進められています。
近接接合型の3つの方法
近接接合型による無線給電方式には、電磁誘導方式・電界結合方式・磁界共振結合方式の3つがあります。
第1の電磁誘導方式は、給電側と受電側の2つのコイルが起こす「磁束」に よって送電するものです。
第2の電界結合方式は、給電側と受電側の2つのコイルが起こす「磁界共振」によって送電するものです。
第3の磁界共振結合方式は、送電側と受電側の電極が接近 (ほぼ密着)した時に発生する電界を利用して送電するものです。
いずれの方式も機器によっては実装されており今後は電波の取り決めや制度が整えば本格的な社会実装が行われるものと思います。
無線による給電方式の空間伝送型についてもみてみましょう。
空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム
「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」は電波の送受信により電力を伝送するシステムです。
有線で接続することなく情報通信機器等への充電や給電が可能であるため、幅広い分野での利用が期待されています。
技術的条件のうち、屋内利用に関する周波数帯や空中線電力などの条件については既に検討が進んでいます。
この検討では、大きく2つのステップを踏んでいます。
第1ステップとして、工場などの屋内での利用を前提とした空間伝送型WPTシステムに関して、ほかの無線通信システムとの共用や電波の安全性について検討を行っています。
第2ステップ以降における屋外での利用や大電力化を可能とする構想があります。
技術の発展や実用化に向けた取り組みの状況を踏まえて検討を行うもので屋内外でのスマートフォンやタブレットといったモバイル端末への電力送信も含まれています。
未来では空の地図を頼りにドローン(小型無人機)が長時間飛ぶようになる
ドローンでモノを運ぶ試みが増えています。特に過疎地域やモノを届けるのが大変な地域では薬や日用品などもドローンで運べるようにしていこうとしています。
しかしドローンに搭載するバッテリーの容量制約で長時間の飛行に耐えられない問題があります。
消費電力が大きい大型の蓄電池を積んでも飛行可能時間は長くても30分です。
無線給電技術が実用化されれば、ドローンは空を飛びながら充電できて連続飛行が可能になります。
その理想を現実にするのが電波の1つである「マイクロ波」で電気を届ける技術です。
電気の供給が空気中で行われるようになると電気自動車の普及やドローンの活用が本格化するでしょう。
ドローンについてはまだ飛行ルールが十分でなく空の地図が必要です。車が空を飛ぶ時代の到来を視野に入れ今から考え始めないといけませんね。
大いに期待したいと思います。