在宅勤務の増加に伴って増えた生活習慣の一つに「就寝先延ばし」という行為があります。
「眠ることの大切さ」は色々な視点から文献やネットで言われていて多くの人が承知していることですが、なぜ増えているのか。
眠りにつく時間が日々遅れていくと、疲れやすくなるだけでなく、ミスや不注意などを含めて仕事の生産性も低下します。
未来技術の開発が進んでいて眠りのサポートやモニタリングできますが、人間の思考については解明されていないことも多い。
今回は誰でもしてしまう「就寝先延ばし」のメカニズムと未来社会についてです。
眠りを味方につけてあなたの毎日が充実したものになることを祈っています。
働き盛りのみなさんの睡眠のとり方の参考になれば幸いです。
- 誰でもしている「就寝先延ばし」とは
- 人間だから「やるべきことの先延ばし」は自然なコトである
- 先延ばしの理由
- 報復性徹夜(リベンジ夜更かし)ともいう
- 「生産的先延ばし」とも言われる
- 先延ばし対策
- おわりに
誰でもしている「就寝先延ばし」とは
「就寝先延ばし」という言葉は令和のコロナ渦において多く聞かれるようになりました。
もともとは自由時間を楽しむために就寝を先延ばしにすることを指しているもので2014年に科学的にユトレヒト大学の研究者により使われています。
この言葉がコロナ渦で目立ってきたのは
テレワークをはじめとする在宅勤務によって生活様式が変わり、家にいながらも自由時間を思う通りに過ごせないこと
によると思います。
人間だから「やるべきことの先延ばし」は自然なコトである
眠りにつくことに限らず、やるべきことを先延ばしにしてしまうことは誰にでもあることです。
生き物全般に言えるので仕方ないこととも言えます。だから先延ばししたってあまり落ち込まない方が良いです。
先延ばしを非難する教えは古くからあり、ほぼ万国共通で見られています。逆にいうと、昔からどこででも「先延ばし」は見られたというコトです。
例えば、キケロは先延ばしを「忌まわしきもの」と呼び、ジョナサン・エドワーズは「未来の時間に頼ることの罪と愚かしさ」と非難しています。
常習的な先延ばしのタイプには、以下のようなものがあります。
先延ばしの理由
先延ばしの理由は人により異なるものの大きく分けて7つあります。
そして、先延ばし防止対策の種がここにあります。
回避
タスクが行われる場所や状況を避ける。やるべきことを言われないように「言われそうな場所・空間」から逃げることでもあります。
否定または、矮小化(わいしょうか)
「やるべきタスクは今すぐには重要ではない」と否定的に考えたり、そういうふりをすることです。これもよくありますね。
気晴らし
やるべきことが頭に浮かんでくることを妨ぐために、他の行動に関与したり没頭したりする。他の夢中になれることでシャットダウンするということですね。
降順的な反事実性
自分の先延ばしした行動の結果を他の人の悪い状況と比較することです。「寝るのは遅かったけど遅刻はしなかった」とかですね。
価値化
他の何かをしていたはずなのに、その間に達成したものに満足すること。Aの仕事をしていたのにBの仕事で良い成果が出たのでそこで終えてしまうこと。
非難
先延ばしにしているのは自分のコントロールを超えた他のせいにすること。「寝るのが先延ばしになるのは外の高速道路の音がうるさいからだ」とかですね。
あざ笑い
ユーモア使って自分の先延ばしを正当化すること。
報復性徹夜(リベンジ夜更かし)ともいう
日中の時間を自分の思うように過ごせなかったり満足できなかったため、夜になってそれを取り戻そうとする行為を「リベンジ夜更かし」と言います。
これもコロナ渦に限らず起こりますよね。会社に入ってからはさすがに減りました。でも、
若い人にとってはごく自然な心理状態だと思います。
中国のソーシャルメディアでは、これをもとにした「報復のための就寝先延ばし(報復性徹夜)」という言葉が生まれています。コロナ渦で一日中家で仕事をした後、その腹いせに夜更かしをして自由時間を楽しむ行為を指します。
「生産的先延ばし」とも言われる
この言葉もパンデミックをきっかけに注目を集めたものです。これは、例えばやるべきことを先延ばしにして別のことを磨くといった、あるタスクを避けてまた別のタスクを終わらせることを指します。
この場合、タスクを一つはこなすことによってある程度の生産性を実現しているために、いうほどに有害には見えないかもしれませんが、
確実にストレスが増幅します。
やるべきことが終わっていないのにそれを放棄して別のことをやり続けるのは、精神的にも穏やかとは言えないですね。
先延ばし対策
完璧主義をやめてちょっとだけやってみる
先延ばしは手ごわい相手ですが、そのわなに陥るのを避けることもできると思います。
短時間でもマインドフルネスのエクササイズを実践した人は、タスクに取り組み続ける傾向が高い。(2020年『International Journal of Applied Positive Psychology』)
完璧主義をやめて、ハードルの低いことをやってみる。たとえささやかでも一歩を踏み出すことに意識を集中すると、関連する感情ではなく行動に注目することによって脳をだますことができるというものです。
具体的に想像するべき7つのこと
具体的には以下の7点があります。
- 大切なのは先延ばしにつながる習慣や思考への気づくこと
- 恐怖、不安、集中力の欠如、時間管理の不備、優柔不断、完璧主義などの自堕落な問題に対して助けを求めること
- 現実的な目標と、タスクと具体的で意味のある目標との間の個人的なポジティブなつながりをイメージすること
- 毎日の活動の構造化および組織へ参加すること
- 優先順位を決めるために自分を鍛えること
- 楽しい活動、社交、建設的な趣味を持つことでモチベーションを高めること
- 一度にすべての問題に挑戦して脅迫の危険を冒すのではなく、時間の小さなブロックに分けてで問題にアプローチすること
解決策
厳しいスケジュール形式でタスクを完了するための計画を立てることは、すべての人に有効とは限りません。
そうしたことが逆効果であることがわかった場合には、そのプロセスに従うの必要は必ずしも無いと思います。
ルールを決めるのはあなただからです。
スケジュールを組むのではなく、必要な活動だけに時間を割いた柔軟で形式ばらないスケジュールでタスクを実行・管理した方が良い可能性があります。
まずは「動くこと」がものごとを前に進めるためには必要です。
行動がすべての成功への基本的な鍵である。パブロ・ピカソ
(Action is the foundational key to all success.)Pablo Picasso
おわりに
コロナ渦で新しいライフスタイルを送らざるを得ない今、とりわけ増加していると思われるのが「就寝先延ばし」。
睡眠のとり方は大切なので気をつけたいですね。