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39歳・コンサルタント・エンジニアです。「やっときゃ良かった」を防いでいい男の最高峰を目指しています。未来技術と健康・減量など役立つ情報を発信しています。

【未来の商流】小売店の盛衰にみる「これからの店舗経営・戦略」と未来技術

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未来ではどんな方法で買い物をするのか(出典:写真AC)

そう遠くない未来に、店頭で販売するお店が減っていくと思っています。

インターネットでモノやサービスを売買するEC(electronic commerce、電子商取引)は、楽天やAmazonのおかげで生活に溶け込み、いまでは空気のような存在になっています。

 

このままだと小さな店舗や商店街は、まちから姿を消すのか?

 

私は消えてはいけないと思ってます。そして工夫次第で必ず生き残れると思います。

 

ではどんな工夫をすれば良いか。

 

今回は商業の未来技術とライフスタイル変化について、過去の小売店の盛衰を確認したうえで、専門的な知見(科学)も交えてこれからの商業環境を考えてみました。

消費者の方も、店舗を経営されている方も参考になれば幸いです。

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シャッター街が増加(出典:写真AC)

死んだ店舗、デッドモール問題

シャッター通りとか市街地の衰退についての問題が議論されていたのは1990年代です。

この議論で悪者にされていたのは、郊外に次々とできた「大型商業施設」や「ロードサイド型商業施設」です。商店街にとってかなりの脅威だった。世の中は、モータリゼーションが進んで自動車による移動が前提になっていて、昔ながらの商店街ではなく郊外のモールを目指しました。そこへ行くほうが便利で安くて楽しい思いをできるという理由からです。

 

しかし、いまではこの大型商業施設もつぶれかけている

 

これには様々なことが影響していると考えられていて、しかもそれらの原因が相互に絡んでいます。例えば、

  • 若者の車離れなど自動車での移動を前提としたライフスタイルになっていない
  • 高齢化で運転免許を手放している人が増えていてアクセスがしにくい
  • ネットショッピングなどのECが浸透してそこを目的にする必要性が低くなっている
  • 新型コロナウイルスで人の集まる空間への外出を控えている

現在、大型店舗(特に色々なテナントが集約されている大衆向けの商業施設)の多くが瀕死状態にあります。すでに閉店している店舗も増えてきている。

業界ではこれを「デッドモール(死んだ店舗)」と称し、デッドモール化を問題視している人たちも多くいます。

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どういう商売が成り立つのか(出典:写真AC)

デッドモール化した後の商流を考える

デッドモール化は、前述した例を含めて考えると大きく3つ観点から整理できます。この3つのことを意識した店舗経営が未来では不可欠となります。

3つの観点とは、

  • 第1は消費者や消費者のライフスタイルが変わっていること
  • 第2は情報通信技術が普及していること
  • 第3は店舗が増えすぎたこと

です。

第1の消費者に関することは、独身化や少子高齢化によるライフスタイルの変化、都心回帰現象に加え、若者の車離れや高齢化により自家用車を運転しない(できない)者が増加するなどです。お客さんの価値観が変わってきているということもあるでしょう。

みんなと同じものでなくても良い。むしろ自分に付加価値を与えてくれる製品を好むのが現代です。)

第2の情報通信技術は、スマホをはじめとしたデバイスを使えば瞬時に注文できるようになっていることです。

(このブログでも私の好きな本やいくつかのアイテムはAmazonなどを介して紹介していますが、これらの商品は実店舗では探すのが大変であまり売っていないものも多い

第3の店舗乱立問題は需要と供給がバランスしていないことでオーバーストアが発生しているものです。似たり寄ったりのテナントが入る商業施設が並んでいても消費者にとってはあまりありがたくない。

(逆に考えると、店舗や商品に希少価値があったり、わざわざいく価値のある店舗は必要とされるでしょう。)

 

これらをふまえると、店舗経営で最も大切なのは、

 

商品ブランドが顧客を囲い込み、再購入してもらえる経験を作る

 

ということです。

ブランド側の努力(好事例)

商品ブランドが顧客を囲い込む例を挙げたいと思います。

例えば私が何かを買ったとき、賢いブランドなら売っただけでは終わりません。領収書を送り、私の身の回りで起こるあらゆるイベント・セールをおすすめするのです。そのブランドで私の生活をデザインするのです。ここが超重要です。

それには商品以上のものが必要です。購入してもらった商品からどこまで価値を引き出せるか、そしてブランドと顧客の関係性をどれだけ良好な関係性が作れるかということが求められています。

NIKEの例

世界的スポーツブランドの「NIKE(ナイキ)」は、来店動機の創出に力を入れています。

自分好みのスニーカーをオーダーできたり、アプリを通して蓄積されたトレーニングデータを使って店員と話しながら購入する商品を決めることができます。

「もっと自分にあった商品に出会う」

消費者の目的を叶える取り組みにチャレンジしています。消費者にわざわざ店舗に行く気にさせる仕組みをつくるためにNIKEは時間とコストを投資し、目的来店性のある店舗(ディスティネーションストア)をめざしているのです。

丸井の例

かつて、若者の文化はマルイから発信されていたのではないかと思うほどの大企業ですが、実はもともと貸金業です。マルイカードはまさにその象徴です。そんなマルイは、現在、ネット通販企業(いわゆるDtoC)を次々と仲間に入れた店舗づくりをしています。決済に自社クレジットカードを使ってもらうことで、手数料と購買データを得ていこうというものです。また、来店した人の購買行動を分析して商品開発に生かすと言う取り組みも特徴的です。

店舗は売る場所ではなく体験する場所でしかない

天井に据え付けた人工知能(AI)カメラが来店客の行動を追い、商品を5秒以上考えていた人の数などのデータを出品企業(ネット通販企業)に提供して商品開発を役立てていくというものです。

体験する価値があるものは店舗で売られる

体験することに価値がある商品のみ、店舗で実物に触れて入手の判断をするのがスタンダードになります。

体験するために店がある。体験価値の高い店は「目的地」となり次々にリピーターがくる。

例えば、百貨店の食品街などはその例です。

いわゆるデパ地下には色々な種類の食べ物や珍しいお菓子、雑貨が揃えられています。これらの多くは実物を目で見ることができ、香りを実感できる。そして中には味わうこともできて、五感で体験できる。ここでは、非定期的に商品ラインナップが変わるというのも来店価値があります。

体験価値がある「デパ地下」と「商店街」は似ている。

逆にわざわざ店に行かなくても良いもの、いわゆる日用品はECで済むことが多いですね。

自分の好きなもの、体験済みのアイテムなどは体験は不要。ネットで手配すれば良いのです。こうしたアイテムの多くはトイレットペーパーだったり定番品としてのビールだったりお米だったりします。食べもので重いものはネットで買うことにしてる人も多いですね。

わざわざ体験しなくて良いもので、大きなものや重いものは特に助かりますね。

 

(いつも使っているお気に入りや定期的な消耗品。私も子供のオムツやおしりふきはAmazonの定期便です。)

 

不可価値の有無が鍵

来店動機につながる「価値」をつくりだすことがこれからのリアル店舗に求められます。

繰り返しですが、

来店する必要がないものはECや移動販売に委ねられる

そこで来店価値をどうやって高めるか。大きく分けて2つあります。

  • 1つはそのモノの実物を快適に確認したり・試せること
  • もう1つはそのモノ以外に楽しめるサービスがあること

です。

第1の実物の確認とは、服や靴であれば着心地、食べ物なら味や匂い・鮮度、電化製品であれば機能や操作性を確かめるということです。これらを試せることに加えて、体験するにあたってのストレスが少なくすることが重要です。店員の執拗な接客にうんざりしたりストレスを感じる人も多いと思います。

 

(これって店員の特性にもよると思いますが、そもそも競争店舗が多すぎたり、店側のノルマが過大になってるからだと思います。)

 

第2の商品以外のサービスについてですが、これはモノ以外に付加価値があるかどうかです。

自転車のメンテナンスに力点をおく自転車屋、ワイングラス付き試飲会を催す食器屋、自分に合うトレーニングシューズをデザインできるスポーツ用品店、などです。シャンパン専門のリアル店舗(銀座の「エンジェルシャンパン」)なども体験と付加価値がセットになってます。

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わざわざ出かけていくということが大切(出典:写真AC)

リアル店舗に行かずに済むもう一つの未来技術(シェアリング)

洋服をネットで買うのはもはや普通になってます。服の種類や色・サイズを即座に検索できる。リアル店舗ではそうなっていない店も多い。

例えば、ユニクロはリアル店舗で色やサイズや在庫が非常に分かりやすく陳列されていますが、昔ながらの店舗・ブティックは、気に入った服のサイズや色・在庫を店員に確認する必要があります。消費者はこれがストレスになっているケースも多い。ストレスがあってもリアル店舗に行くのは実物を確かめるからです。

 

仕方なく来店するという状況がすでに増加しているのです。

 

それに対しシェアリングはどうか。私の場合、仕事のための服はシェアリング(デザイナーを抱えた企業から定期的にレンタル)です。

これは私服に比べて消耗が激しいこと、スラックスの太さ一つとっても流行があること、日々の洗濯・手入れが大変なことなどからです。

 

シェアリングなら返品可能でサイズに対する細かい要望も出せるのが良い

 

私が仕事着をチョイスする視点に「着飾ること」はありません。

クライアントやビジネスパートナーには、私が着ている服のことで不快な思いや不安にさせたくないからです。私の場合、服で語るのではなく、技術で語らないといけない。技術が仕事の本質です。だから仕事着は清潔感があれば普通でいい。ユニクロの白シャツ5枚と清潔なスラックス、それに小ぎれいなジャケットがあれば良いのです。

 

ちなみにいまお世話になっているシェアリング服

 

申し込みしたらすぐに見繕ってくれて数日でゆうパックで届きます。

だけど好きな服(私服)は吟味して購入しますよ。わずらわしいやりとりのない店舗でですが。

新たな物差し

これからの店舗の価値を、売り上げや床面積の効率だけで計ることは時代に合わなくなってきています。リピート客や新規の客をどれだけ獲得したかが新たな評価指標になります。

「デッドモール」が急増し、多くの商業施設が消滅していくことが予想されています。小売店はピンチをチャンスに変えるべく、付加価値の高い体験要素を取り入れた新たな店舗経営・戦略を立てる時にきていると思います。

そして消費者である多くのヒトが、シェアリングやECを賢く使いこなしていくことができれば良いですね。