コンビニに並んでいる雑誌のカタチが変化してきそうです。
コンビニの雑誌といえば一昔前に比べて重厚になってきていて、中には付録(雑誌本体以外にポーチや手帳、Tシャツなどがつくもの)が付いたものも見られています。
雑誌は今後さらに進化するでしょう。
付録に電子書籍をダウンロードできるコードを同封した新形態の雑誌などです。
美容院などではタブレット端末などの電子上で目にする機会も増えています。コロナ渦ではファミリーレストランの待合スペースにあった幼児用の本は撤去されたりもしました。かつては重宝されていた紙は私たちの生活から少しずつ存在を潜めているような気がします。
今回は雑誌の未来と媒体・材料としての紙について科学的な観点から考えてみました。みなさんの参考になれば幸いです。
減少傾向にある紙の製造量
紙の製造量は減少しています。紙の大半を占める新聞用紙や印刷・情報用紙等は人口減少、少子化、ICT化等の構造的な要因により減少を続けています。
新聞用紙はニュースを印刷して知らせるための紙です。最近は電車の中で新聞を広げる人が減っていますね。
印刷・情報用事は、書いたり、印刷したりして情報を伝えるための紙です。ノートや印刷用紙、雑誌・パンフレット、レシートなどが含まれます。
この二つの紙は表に示す通り2005年以降激減している。これは経済活動の停滞は一時的なもので、ペーパーレス化や地球環境への配慮によるところが大きいように思います。
これを下図に示した増減指数で見てみるとさらに明確です。ここから紙の生産量の動向として三つのことがわかります。第1に新聞用紙と印刷・情報用紙は2010年ごろから急速に減少していること(2009年リーマンショックなどの経済停滞によることが要因)、第2に包装用紙は2017年ごろから下げ止まりしここ数年で微増傾向に転じていること(宅急便が増えていることが要因)、第3に衛生用紙の主たる紙製品であるトイレットペーパーなどは維持・増加傾向にあることです。
雑誌をはじめとした印刷・情報用紙は減少が止まらない状況が見てとれます。
ダウンロードチケットと付録がついたハイブリッド雑誌
電子書籍と付録を組み合わせた雑誌の販売を始めているコンビニが増えそうです。新業態の雑誌とは「電子書籍をダウンロードできるコードと付録を同封した雑誌」のことです。雑誌の表紙や目次を印字した数ページの冊子と付録に雑誌本編のダウンロードが許可されるコードを同封するという仕組みです。コンビニでは付録つきの雑誌の販売が堅調で来店動機にもなっている。集客力を高めることでコンビニの収益向上につなげたいという思いがあるのだと思います。
付録は店頭で売るという点がコンビニならではの工夫ですね。付録が宅配で届けられたら店舗へ出向く必要性がなくなるからですね。店舗へ出向くことが大切であることについては本ブログのこちらの記事でも紹介しています。
紙の生産が減り雑誌の形態も新たな局面を迎えている中、紙のゴミ化、本屋は閉店し印刷屋が閉店ひていくしかないのでしょうか。雑誌の未来と媒体・材料としての紙はどのように未来社会に存在するのでしょうか。
地球環境との関係
紙と地球環境の関係は再生紙にみられるように深い関係があります。日本国内で生産される紙の原料の約6割は古紙ですが残りの約4割は木材などを原料としたバージンパルプと言われています。
バージンパルプの原料には、丸太を製材に加工する際に発生する残材(端材)なども使われます。丸太を数センチに砕いた木材チップが用いられています。木材チップは国内産のものもありますが、国外から輸入されるものの方が多く、この原料には、ユーカリやアカシアなどの植林木が用いられているようです。
木材チップの原料の一部には天然林から伐採された丸太も用いられていて、環境団体からは天然林の伐採対象には生物多様性が豊かな原生林豊かな含まれていることが指摘されているそうです。
紙の技術進歩
古代には貴重だった紙が技術革新で個人で利用できるようになると本として流通して、最後に生活を彩るデコレーション・装飾として使われてゴミとなる。
カクミチオ博士の2100年の科学ライフからの引用です。
パピルスの誕生による古代文明の発展に寄与した紙
第1段階では、テクノロジーの産物はとても貴重なので厳重に守られる。紙は、数千年前に古代エジプト人がパピルスとして発明し、さらに中国でも発明された当時、大変貴重だったため、1本の巻物を多くの催事が守っていた。このささやかなテクノロジーは、古代文明の発展に寄与した。
グーデンベルクの印刷術が個人用書庫を誕生させる
紙の進化が第2段階に入ると個人所有が始まる。うちの実家も3階に書庫があるのですが本の重み対策として床・構造を増強していたことを記憶しています。
紙の進化が第2段階に入ったのは、1450年ごろ、グーテンベルクが組み換え可能な活字を使った印刷術を考案したときだった。これにより「個人用の本」が実現し、各自が、なん百もの巻物の情報を収めた本をもてるようになった。
グーテンベルクの誕生まで、ヨーロッパ全土にあった本は3万冊だけだった、それが1500年には900万冊まで増えて、盛んに血の発行をうながし、ルネサンスを触発した。1930年ごろ、髪の進化は第3段階に突入し、1枚当たりのコストはごくわずかになった。こうして個人用の書庫が実現し、ひとりでなん百冊も本が持てるようになる。
空気のようになった紙。そして生活の装飾に活用される紙
現在はメッセージカードやプレゼントの包装紙、パーティの時の空間デコレーションに活用される。
紙はありふれた品物になり、トン単位で売られるようになった。紙はどこにでもあって、空気のようにありふれたものとなったのである。現在は、第4段階にあり、紙は装飾的な表現をするものとなっている。じっさい、我々は世界を様々な色や形や大きさの紙で飾り立てている。
都会のごみで最も多いのは紙である。つまり紙は厳重に守られる品物からごみへと進化したのである。
古代には貴重だった紙が技術革新で個人で利用できるようになると本として流通して、最後に生活を彩るデコレーション・装飾として使われてゴミとなるというプロセスを踏んでいます。
東南アジアなどでは当面紙の需要は高まると思いますが、未来社会と紙の関係に注目ですね。