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39歳・コンサルタント・エンジニアです。「やっときゃ良かった」を防いでいい男の最高峰を目指しています。未来技術と健康・減量など役立つ情報を発信しています。

【未来技術】電力供給の安定化とブロックチェーン技術

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化石燃料に頼る電力発電や工業(出典:写真AC)

本ブログのテーマの一つである「未来技術」に大きく影響する【電力ネットワーク】ですが、今後さらに安定化していく取り組みが進んでいます。

電力ネットワークは、通常、電気を作る発電所と電力消費地(家やオフィスなど)との間が「電線」で結ばれて形成されています。

最近では電線がなくなる「無線化」、つまり電力ネットワークのリンクレス化の検討が進んでいます。

無電線化についてはこちらで書いてますので興味のある方はご覧ください。

【未来技術】電力ネットワークのリンクレス化の可能性 - dandy maker

今回は、これまで地域ごとに閉じていた電力ネットワークが広域で連携されていくこと、そしてこれが再生可能エネルギーの普及にもつながっていくことについて【ブロックチェーン技術】も交えて解説します。

電力は生活全般にわたり不可欠なものとなっています。電力に依存している現代だからこそ知っておきたい話題ですね。参考になれば幸いです。

安定供給に向けた電力網の再整備

我々の身近には電力がないと動かないものが溢れています。

テレビや冷蔵庫などの家電やオフィスビルやマンションのエレベーター、自動ドア、スマホやウェアラブルウォッチも電気(バッテリー)を貯めておかないと動かない。

電気自動車はもちろん、生活に不可欠な人もいる電動車イスや命に関わる医療機関の生命維持装置など、電力がないと日常生活が困難になりますね。

電力をどこでもいつでも手に入れられる環境にしている人が多いと思いますが、現在、その電力供給を安定的にしていくための枠組みづくりが進んでいます。

地域間電力融通のこれまで

日本は各地域の電力会社が電力供給体制を整備してきたため、歴史的には、原則として地域を超えて電力のやりとりをすることは想定してこなかった事情があります。(昔は人の行動範囲が今よりはるかに狭かったことも影響していたと思います。)

ただしいくつかの例外があります。

例えば、東電が管理する福島原発です。

福島県にある福島原発は東北電力が担当するエリアですが、福島原発に限っては東京電力が管理しています。

これを「管外発電所」とも呼ばれます。

なぜ管外発電所に位置付けられているかというと、もともと東京・東北間は、地域特性の差を活用して融通しあってきた珍しいケースだったのです。

地域特性の差とは、東北地方は東京に比べて年間通じて涼しいこと、冬場は雪が多いこと、夏季よりも冬季の電力需要が多いことなどです。

夏の電力需要は供給を下回る一方、冬の電力需要が多いため、その一部を東電から供給してもらい補ってきたのです。

東日本大震災のとき、計画停電が強いられましたが、この時、全国的には十分な供給力があったのですが、東京電力では電力が不足しました。

これは、福島の原子力発電所が被災して東京への供給力が大幅に減少したからです。

地域間電力融通の今後

現在の日本の電力ネットワークは地域内で完結するネットワークであるため、停電が他の地域に及びにくい半面、電力を相互に融通しにくい状況でした。

しかし、地域間の連携線の規格を整えて容量を増やすことについて各電力会社が合意したのです。

令和3年になり異なる地域間での電力融通の実現化に向けて動き出しています。これを【地域間電力融通】といいます。

地域間電力融通によって、東電管内へは東北からだけでなく中部や北陸などからも電力供給でき、その逆もまた可能になるでしょう。

これが可能になれば、災害が起きた時でも電力を供給し続けられます。

地域間電力融通を実現するための送電網のことを【地域間送電網】といいます。

地域間送電網の整備

【地域間送電網】は、電力会社が定める通常の供給エリアをまたいで電気を送る送電線のことで、連系線と呼ばれるものです。

この【地域間送電網】が整備されることで、自地域の電力供給ができなくなっても他地域から供給で賄うことで電力供給を継続できるようになるということです。

また国内の地域間を結ぶ電力網により地域相互で電力のやりとりができるようになることで、遠方で発電された電力であっても希望すれば供給(入手)することができるようになります。

広域の送電インフラの整備によって、再生可能エネルギー(例えば、洋上風力発電)の大量導入を後押しするということです。

再生可能エネルギーとブロックチェーン

再生可能エネルギーの大量導入を後押しすると書きましたが例えば風力発電を例に解説します。

風力発電には大きく2つの問題があります。

第一に風力は風が吹いた時にしか発電できないため風力発電に適した場所は国内でも少ないこと、そして第二に送電損失(送電の時にロスがあること)があるため風力発電所は都市の近くにある必要があることです。

しかし、広域送電線網の整備によりこれらが解決されるでしょう。

再生可能エネルギーなどの分散型電源を保有する生産消費者(プロシューマー)が増え、発電した電力を売買する電力取引の仕組みに注目が集まっています。

電力供給の技術開発が進みブログチェーン技術が発達したことで再生可能エネルギーの利活用もさらに進みそうです。

ブロックチェーン技術を用いて、 電力取引データやGPS情報を基に、 再生可能エネルギー由来の電力の発電地や電源種別、 発電時間、 供給者といった電力の産地を証明するトラッキングシステムなどが開発されています。

おわりに

未来社会では、風力発電(洋上風力発電)が勢いを増し、将来にわたって成長することは間違いないと思います。多様なエネルギーの中で欠くことのできないシェアを獲得するでしょう。しかし電力は、化石燃料に大部分を由来している現実は当面続くことも事実だと思います。

電気自動車が普及しても、これを走らせるには最初に充電が必要です。この充電には化石燃料によって生み出された電気が用いられていて、電気自動車は無公害だとしても、元をたどればそのエネルギー源は化石燃料であるということです。

ガソリンから電気に移行するには、火力発電所をはじめとした化石燃料を全く新しいエネルギーに置き換える必要があります。